イントロダクション
・・・パチもんにすがって生きている人間もおるんやから、
本物とかニセモノとかどうでもええやん・・・
本物とかニセモノとかどうでもええやん・・・
小学校の卒業以来、20年ぶりに足を踏み入れた大阪の街。
桜並木の坂の上にある学校。暗くなるまで野球をした公園。みんなと蝉取りした神社。
あの頃のままのモノとそうでないモノと。
アイツは変わらんままでいてくれてるやろか、それとも・・・
この物語は、男ふたりの再会を発端に動き始めます。
「ッぱち!」は、話題の脚本・演出家 霧島ロックが、大阪の街の片隅を舞台に、世間からちょっとはみ出した人たちが、ほんの少し、前に歩き出す物語を、笑って、笑って、ちょっと泣ける舞台にした珠玉の作品です。全編ほぼ関西弁でお送りします。
関西出身の初共演二人が織りなすテンポの良い笑いと、感動の人情劇をお届けします。
あらすじ
東京で家具デザイナーの仕事をしている河野裕之(室 龍太)は、幼少期を過ごした関西を訪れ、小学校時代の旧友の吉岡雅人(越岡裕貴)を訪ねる。
吉岡の実家は古道具屋を営んでいるらいしが、仕入れもせず品物も少なく、何故か現在は開店休業状態らしい─。不思議に思ったが多くは突っ込んで聞かない河野。
20数年ぶりの再会を喜ぶ2人。
現在吉岡は、妹のミチル、親戚のような孝明、居候の御前崎と4人で暮らしていて、海外で登山家として活躍する幸(サチ)という恋人がいる。離れてはいるが、毎月のように手紙は届くらしい。
その夜、吉岡宅に泊まることになった河野は、なぜ急に兄を訪ねて来たのかとミチルに聞かれ、吉岡との小学校時代の思い出を語る。
昔クラスのみんなから仲間外れにされた時、吉岡だけは友達でい続けてくれたという大切な思い出。
しかし、なぜ訪ねて来たのかはよくわからないまま─。
翌日、河野が隠していた“あること”が発覚。その“あること”が原因で東京でつまずき、自分の居場所や進むべき方向を見失ってしまったという河野。
そんな河野に吉岡は、幸から毎月送られてくる手紙の束を取り出し、恋人のことを話し始める。
なぜ急にそんな話を始めたのか分からず戸惑う河野に、吉岡は海外から届くその手紙が持つ、本当の意味を語り始める─。